従業員数30人未満の中小企業が人事制度を作るメリットと手順とは

中小企業も人事制度をつくるべき!見逃せない、その理由とは 人事制度

突然ですがあなたの会社、人事制度がありますか?!

「うちには人事制度なんてないよ!」
「従業員数が少ないし、自分がちゃんと評価しているから細かいルールは要らないでしょ!」
「ルールを作ったら縛られそうで面倒だ!」

そんな声が聞こえてきそうですが、たとえ従業員数が少なくても、これからの時代そうも言っていられないかもしれません…!

マイナビが2025年卒業生1,200名を対象に、2024年3月1日~3日に行った調査の結果をご紹介しましょう。

若者が企業を選ぶポイント

若者の就職活動

この調査によれば、就職先として企業を選ぶ際のポイントとして、次が挙げられています。

就職先として企業を選ぶ際のポイント第1位

待遇面(給与、休日休暇制度含む)が良い…22.8%

やはり待遇。中小企業にとって厳しい結果です。
実際、賃上げ率などは大手企業と比較すると負けているという統計がでています。

就職先として企業を選ぶ際のポイント第2位

社風や働く社員が良い・良さそう…22.6%

2024年卒業生を対象にした調査ではダントツ1位だったポイントが、今回の調査ではポイントを下げて2位。
ですが、1位とほぼ拮抗しています。
待遇面では大手に勝てない中小企業でも、チャンスがあるポイントと言えます。

では良い社風、良い従業員はどのようにして作られるのか?
原点は経営理念だと私は考えます。

就職活動中の学生は、給与・福利厚生はもちろんのこと、会社の雰囲気や理念にも注目しています。
企業の魅力を高めるためには、待遇面だけでなく会社の価値観を明確にすることが大切ですね。

経営理念と人事制度には関連性があるのか?

経営理念と人事制度の関連性について考えてみましょう。

人事制度の目的は、企業と従業員の「ベクトルを合わせること」です。

企業のベクトルとは

企業のベクトルは、経営理念(パーパス・ミッション/ビジョン/バリューと表現されたりもする)として示されています。
その企業が、社会や顧客にどのような価値を提供し、何を目指すかなどが示されます。

従業員のベクトルとは

従業員のベクトルは、キャリアビジョン(仕事上での将来のゴール)とライフビジョン(仕事・プライベートを総括した将来ありたい姿)です。

人事制度は企業と従業員の方向性をできる限り合致させるための仕組みの一つなんですね。

あなたの会社の目指す方向と、従業員一人ひとりの目標が一致していたら、今よりもっと良くなりませんか!?

もしかしたら、人事制度についてちょっと興味を持たれたかもしれませんね。
でも人事制度って、どうやって作ればいいんでしょうか?
以降でざっくり解説します。

中小企業が人事制度を作る手順

人事制度のつくり方

中小企業では、以下の順番で作っていけばいいと考えています。
ですがくれぐれも「絵に描いた餅」にならない、簡易な運用を目指すことがポイント。

なお、小規模の企業では、経営者が賃金体系に柔軟性を求めるケースが多いと思うため、一般的に重要視される賃金制度の優先順位を下げています。

ただ、大枠としてどれくらいの賃金水準にするかという基準は持っておくべきですし、きちんとした評価をしても賃金水準を恣意的に扱えば、従業員の不信を招くことには注意が必要です。

  1. 経営理念を明確にする
  2. 人事ポリシーを策定する
  3. 人材ポートフォリオを作成する
  4. 等級制度を設計する
  5. 評価制度を設計する
  6. 教育訓練制度を整える
  7. 賃金制度を考える

なんだか訳がわからないワードが出てきていますが、大丈夫。
一つひとつ解説します。

経営理念を明確にする

明確な経営理念を持つことで、従業員一人ひとりが同じ目標に向かって働くことができます。
理念は人事制度の基盤となり、組織の一体感を高める重要な役割を果たします。

経営理念は文章にするだけでなく、人事制度を通じて社内に浸透させていくことが大事です。

人事ポリシーを策定する

人事ポリシーとは、従業員の処遇や評価に関する基本方針のことです。
明確な人事ポリシーを持つことで、評価制度や教育制度を一貫性のあるものにでき、従業員の信頼も得られます。

人材ポートフォリオを作成する

人材ポートフォリオは、経営戦略に基づいて必要な人材の質と量を分析する枠組みです。
将来求められる人材像を可視化し、現状の人材構成と照らし合わせることで、過不足を把握できます。
この分析を活用して適切な人事対策を立てることが可能になります。

等級制度を設計する

等級制度とは、従業員の役割や責任範囲を明確化する仕組みです。
きちんと等級が設定されていれば、従業員一人ひとりが自身のキャリアパスを理解しやすくなり、モチベーションの向上にもつながります。

評価制度を設計する

評価制度は、従業員の業績を公正に評価する仕組みです。
明確な評価基準があれば、従業員は自身の成果が正当に評価されることを実感でき、モチベーションとパフォーマンスの向上が期待できます。

教育訓練制度を整える

教育訓練制度を整備することで、従業員の継続的なスキルアップを支援できます。
特に中小企業では、一人ひとりの能力向上が会社の成長に直結するため、この制度は重要な意味を持ちます。

賃金制度を考える

賃金制度とは、従業員の給与水準を決める基準を設けるものです。
明確な基準を持つことで、従業員の不満を減らし公平性を保つことができます。
適正な賃金制度は、従業員のモチベーションを維持し、会社の安定経営にもつながります。

従業員数が30名未満でも人事制度を作るメリットがある!

このように、従業員数が30名未満の企業であっても、人事制度を整備することには大きいメリットがあります。
人事制度導入により、会社の成長と従業員の満足度を高めることが期待できるからです。
採用難が続く中、従業員一人ひとりの力を引き出さないと、近い将来事業の存続が危なくなります。
組織の効率性と生産性を最大化するためにも、ぜひ積極的に人事制度の構築に取り組んでみてください。

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