古いままの就業規則、変更しないと生じるデメリットとは?

就業規則イメージ 労務トラブル対応

あなたは就業規則を定期的に見直ししていますか?!

そういえばもう何年も見たことがないなぁ…。

そんなあなたは要注意
就業規則を放置することで思わぬリスクが降りかかる可能性がありますよ!

今回は、意外と重要な就業規則の見直しについて説明していきますね。

就業規則を見直すべきタイミングは?

就業規則、いったん作ったらあまり見る機会がない…ということ、ありますよね?
社員数が少ない会社では普段ほとんど就業規則を見る機会がなく、社員数が多くなるにつれて就業規則を活用している会社が増えるというのが、私の感覚です。

その原因の一つに、社員数が増えるにつれ、労務管理の複雑さが増し、課題の発生確率が上がることが考えられます。
課題に直面する度に就業規則の定めを読み解き、それに従って対応する訳ですから、労務管理上の課題が多ければ多い程、就業規則と相対することになります。

逆に社員数が少なければ少ない程労務管理上の課題が出てきにくいので、就業規則に頼ることなく日常が回ります。
そして、そういえば何年も見てないなぁ…ということが起きるんです。

ですが、就業規則を見直すべきタイミングがあります!
これらのタイミングを、逃さないようにして下さい。

法改正が行われる直前

重要なタイミングは、法改正の前。
労働関係の法律は、割と頻繁に改正されます。
例えば最近ではこんな改正がありましたが、あなたの会社の就業規則は見直しが済んでいますか(就業規則の変更が必要になるものをピックアップしています)?!

  • 中小企業でも、60時間を超える残業時間に対する割増率が50%以上になった(令和5年4月1日から)
  • 育児休業を取得しやすい雇用環境の整備/妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした社員に対する個別の周知、意向確認の措置(令和4年4月1日から)
  • 有期雇用社員の育児・介護休業取得要件の緩和(令和4年4月1日から)
  • 産後パパ育休(出生時育児休業)の創設/育児休業の分割取得(令和4年10月1日から)

今後も就業規則の見直しが必要になる法改正は行われるので、法改正の情報を事前に掴んで必要な対応をしなければいけません。

法改正がある前に、就業規則を見直してみる

会社の実情と就業規則が一致しなくなった時

実害が生じる可能性があるのがこちら。
いつの間にか、会社の実情と就業規則の内容がかけ離れていることがあります。

「こんな手当、今は払ってないんだけどなぁ?!」
「昔はこの勤務時間だったけど、今は違うんだよね」
「今はこの社員区分で働いている人はいないね。昔はいたのかも…?」

特に、社歴が長い会社でありがちな現象です。
会社が成長し、時代が変わったのに、就業規則だけが置いてけぼりになっていることが意外とよくあるんですね。

社内のルールを変更したら、就業規則を見直してみる

就業規則を見直さないことで生じるデメリット

見直さないといけないタイミングについては分かった!
でも、これまでも特に見直しはしてこなかったけど何も起きなかったよ!?

もしかしたらこのように思われる方もいるのではないでしょうか…。

それはたまたま運がよく(?)、何も起きなかっただけかも知れません。
就業規則を見直さなければ、次のようなデメリットが発生する可能性があります。

行政による指導

デメリットの1つ目は、行政から指導を受ける可能性があること。

基本的に就業規則は法律を下回ることができないため、仮に法改正の内容が反映されていなくても法律通りの運用をしていればものすごく問題視されることはないかも知れません。

ただ、育児介護・男女雇用機会均等辺りは、就業規則のチェックが比較的厳しく、細かい点まで指摘を受ける印象があります。
行政の調査があるから慌てて準備…ということにならないように、前もってきちんと必要な見直しを行いたいものですね。

労務トラブル

デメリット2つ目、気をつけたいのが労務トラブル

法改正を把握しないまま就業規則の通りに運用していたら、知らず知らずのうちに法違反をしてしまう可能性があります。
また、特にお金や社員にとってメリットがある待遇等は、トラブルの原因になる可能性が高い分野です。
今は支払っていない手当が残っていたり、私傷病休職の定義が曖昧(私の体感では、社歴が長い会社でありがち)だったりすると、トラブルの火種になりかねません。

現在の運用は変化しているのに、就業規則は昔のまま。しかも昔の仕組みの方が社員にとって有利…となった時に、

「就業規則にはこう書いてある!」

と主張されてしまうと、困りますよね。

労務トラブルはいつ発生するか分かりません(リスクは常に存在していますが…)。
そもそも無用な労務トラブルを予防するためにあるはずの就業規則が、逆に労務トラブルの種になるのは滑稽な話です。

労務トラブルの発生を未然に防ぐためにも、定期的な見直しが必要ですね!

就業規則改定のポイント

ポイントのイメージ

就業規則を見直さないことで生じ得るデメリットについて、学んで頂けたと思います。

それでは次に、就業規則を改定する上で押さえておきたいポイントに進みましょう!

法改正の内容を反映させる

法改正対応は、就業規則に正しく法改正の内容を反映させます。
重要な改正の場合、厚生労働省から就業規則の規定例が出るので、それを参考にしてもいいでしょう。

法改正の内容を反映させるためには、改正によって何がどう変わるのかを把握しておかなければいけません。
よって常に法改正関連の情報を収集して、改正内容を学ぶ必要があります。

行政からの配布物やパンフレット、ニュース等の内容に普段から気を配っておきましょう。

法改正の情報に、常に気を配ろう

会社の現状と一致させる

社内のルールが変わったら、速やかに就業規則に反映させましょう。

特にデメリットの部分で説明したように、お金、その他の福利厚生、待遇に関わる部分の仕組みを変えたなら要注意です!

ここで気をつけなければいけないことは、就業規則改定前よりも改定後の方が社員にとって不利な内容になっている場合、就業規則を改定しただけでは(原則として)その効果は生じない点です(労働契約法第9条。いわゆる「不利益変更」)。

実務上、不利益変更の問題は割と多く生じます。
で、わざわざ既存の仕組みよりも社員にとって不利な内容に変更する訳ですから、会社としては是非とも実施したいケースが大半です。
反発のリスクを承知で、半ばどうでもいいことをやったりはしませんから。

社員にとって不利な内容に就業規則を変更しなければならない時は、変更前に必ず専門家に相談することが大切!
労務トラブルが起きないように慎重に対応すべきです。

社員にとって不利になる内容への就業規則の改定が必要なら、事前に専門家に相談すること

改定したら社員に周知する

就業規則は、社員に周知しなければいけません(労働基準法第106条)。

それとは別の概念として、就業規則により労働契約の内容を決定・変更する効力は、社員に周知しなければ発生しません(労働契約法第7条・第10条/フジ興産事件 最二小判平15.10.10)。
ごく稀に、就業規則は作ったけど誰も開けない書棚にしまって自由に見ることができない状態にしていたり、就業規則を社員に読まれると都合が悪いので見せないようにしているという会社がありますが、これは非常にリスクが高い状況です。

周知する方法は、労働基準法第106条/労働基準法施行規則第52条の2で次のように定められています(話がちょっと難しくなりますが、労働契約の内容を決定・変更する効力を生じさせる意味での周知は、実質的に見て就業規則の適用を受ける事業場の社員が就業規則の内容を知ろうと思えば知りうる状態に置くことを意味すると解されており、以下の方法を必ず満たすよう要求していません。要は、周知のニュアンスが労働基準法と労働契約法で微妙に異なっているということ)。

  • 常時各作業場の見やすい場所へ掲示又は備え付けること
  • 書面を交付すること
  • 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること

例えば社員の誰でもアクセス可能な社内のイントラがある場合は、そこにアップしておいてもいいということ。
周知と言っても、社員全員が就業規則の内容を実際に隅から隅まで読まないといけないと言っている訳ではない点は押さえておいていいかと思います。

ちなみに、就業規則の周知義務に違反すると罰則があります(労働基準法第120条第1号)。

就業規則を改定する際には、必ず社員に周知すること(なお形だけ労基法の通りに整えるのは危険)

労働基準監督署に届出する(常時10人以上社員がいる場合) 

常時10人以上社員(アルバイト等の非正規雇用も含む点に注意)がいる場合は、過半数労組または社員の過半数代表の意見聴取を行った上で、就業規則を事業場所轄の労働基準監督署に届出なければいけません(労働基準法第89条・第90条)。

注意が必要なのが、この過半数代表の選出について。

  • 労組がある場合でも、事業場のパート等非正規社員を含めた全員のうちの過半数が加入してなければ、意見聴取を行う対象は労組ではなく過半数代表
  • 管理監督者は過半数代表になれない
  • 過半数代表を選出するには正社員だけでなく、パートやアルバイトなどを含めたすべての社員が手続に参加できるようにする必要がある
  • 選出手続は、就業規則の意見聴取を行うことを明らかにした上で、社員の過半数がその人の選出を支持していることが明確になる民主的な手続(投票、挙手、労働者による話し合い、持ち回り決議)がとられている必要がある

会社が適当な社員を指名して過半数代表になるように依頼する等はNGです。
労務トラブルを予防するためにも、適切な手続を踏みましょう(なお、届出手続違反は罰則あり)!

届出前の意見聴取の際、社員の過半数代表を選出する手続は適切に行おう

就業規則改定を社労士に依頼するメリット

就業規則改定のポイントを見てきていかがでしたか?!

就業規則を見直すのって、思いの外大変な作業だな!!

と感じた方もいらっしゃると思います。
就業規則は会社で働く上での基本ルールなので、間違ってもいい加減に作ることはできません。

ポイントをしっかり押さえて手間をかけて作っていかなければ、かえって労務リスクの発生源になりかねません。

普段忙しい中で、そこまで就業規則に労力を割けないよ…

と諦めてしまう前に、社労士に相談することをオススメします。

就業規則作成のプロである社労士に相談すれば、あなたがかける労力を最小限にして、押さえるべきポイントを網羅した就業規則を作ってもらえますよ!

そういえば、就業規則を何年も見てないな

というあなた、今すぐ社労士に相談しましょう。労務トラブルが起きてからでは遅いですよ!

労務リスクを抑えるためにも、就業規則作成のプロである社労士に相談するメリットは大きい!

社会保険労務士事務所スリーエスプラスでは、就業規則変更にかんするご相談にも対応しています。
初回の面談は無料
あなたの会社の現状をしっかりお聞きしたうえで、最適なアドバイスを提供します!

監修:大冨伸之助(社会保険労務士)

広島県社会保険労務士会所属。2004年(平成16年)社労士試験合格、翌年登録。
「社員よし、顧客よし、会社よしの仕組み創り」をテーマに、労務相談対応・人事制度設計・バックオフィスのIT化支援を行う。
約10年の社労士実務経験以外に約8年の会計実務経験があり、経営的視点から中小企業の経営者の決断を支える。
”smile” ”speed” “security”を仕事の基本スタンスとし、頭文字を取り事務所名を「社会保険労務士事務所スリーエスプラス」とした。
広島市生まれの呉市育ち。
広島県外に住んだことがなく強めの広島弁が特徴だが、オンラインで全国対応可。

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