復職時は労務トラブル頻発!メンタルヘルス不調のモメない休職対応

労務リスク管理 労務トラブル対応
労務担当者
労務担当者

休職中のAさんから復職の申し出がありました!
ようやく職場復帰ですね!!

社長
社長

知り合いの社長のところで先日
復職をめぐってトラブルになったらしいんです…
復帰は嬉しいけど、復職のときに注意すべきことを
顧問社労士に確認してもらえませんか?!

労務担当者
労務担当者

確かに何か気をつけるポイントがあるかもしれませんね?!
顧問社労士に聞いてみます!

経験上、メンタルヘルス不調が原因の休職に関する労務相談件数は多いです。
中でも、復職が対応に最も気を遣うタイミングになります。
対応を誤ると一気に労務トラブルに発展する可能性があるので、今日は復職検討時に取るべき対応と労務リスクについて説明しますね。

休職から復職までのルートを整理する

まず、休職から復職にかけての分岐を図で整理してみます。

休職中から休職満了までの条件分岐

休職期間が満了するまでの間に復職が可能とされれば(①③)、就業規則の手続に従って復職の申し出があります。
復職の申し出があれば、会社は本当に復職ができるのかの検討をします。
検討の結果、復職できると認められれば復職することになり、認められなければ③のタイミングでは休職期間が満了するまでの間休職が続くことになり、①のタイミングでは退職になります。
また、休職期間満了時に復職の申し出がなければ(②)、期間満了によって退職となります。

労務トラブルになるケース①復職を認めない

私の経験上、トラブル発生により労務相談に対応するケースが多いルートを見てみましょう(矢印を赤く表示しています)。

休職中の社員から復職の申し出があったものの、復職を認めず退職となるケースで、最も労務トラブルになることが多いと感じます。
このルートをたどるケースには、裁判例も複数存在します。
復職の申し出をしているということは、本人に復職の意思があり、かつ医師の「復職可能」の診断書も取っているからです(復職の申し出には必ず診断書を添付するよう就業規則に定めましょう)。

労務トラブルが発生するポイント

復職できるかどうかを最終的に判断するのは会社です。
医師の診断書は重要とはいえ判断材料ですから、「医師の診断書がある=復職が絶対」という訳ではありません。
この復職可能かどうかの判断が、労務トラブルが発生するポイントです。

復職判断時の労務トラブル対策

診断書に「復職可能」と記載されていても、必ずしも実際に業務ができる程度に回復しているというわけではありません。
厚生労働省作成の「職場復帰支援の手引き」にも、以下の記述があります。

主治医による診断は、日常生活における病状の回復程度によって職場復帰の可能性を判断していることが多く、必ずしも職場で求められる業務遂行能力まで回復しているとの判断とは限りません。このため、主治医の判断と職場で必要とされる業務遂行能力の内容等について、産業医等が精査した上で採るべき対応を判断し、意見を述べることが重要です。
なお、あらかじめ主治医に対して職場で必要とされる業務遂行能力に関する情報を提供し、労働者の状態が就業可能であるという回復レベルに達していることを主治医の意見として提出してもらうようにすると良いでしょう。

厚生労働省「職場復帰支援の手引き」 https://www.mhlw.go.jp/content/000561013.pdf

上記のように、復職可能とする診断書の内容について、必要に応じて主治医や産業医等の意見を求めていくことが重要です(主治医への意見聴取はあらかじめ本人の同意が必要です)。

そしてここが最も重要な点ですが、復職を認めず退職とする場合には、少なくとも医学的な意見の確認は経ておくことです。
復職可能という診断書が提出されたにもかかわらず会社が復職を認めなかった事例について、主治医の意見聴取を行わなかったことを理由の一つとして解雇無効とした裁判例もあります(J学園事件)。

なお、復職可否の検討をするために、リハビリ勤務で様子を見ることも考えられます(リハビリ勤務の性質については、就業規則にきっちりと定義しておきましょう)。

  • 診断書の内容について、主治医や産業医の意見を確認し復職の可否を判断する
  • リハビリ勤務により復職の可否を判断する

労務トラブルになるケース②手続不備

休職期間が満了し、退職となるケースでも労務トラブルになる可能性はあります(矢印を赤く表示しています)。

ケース①とは異なり、休職中の社員から復職の申請がないまま退職になるケースですが、どこにリスクがあるんでしょう?!

労務トラブルが発生するポイント

そもそも休職の手続自体に不備があれば、労務トラブルの原因になる可能性が出てきます。
具体的には、就業規則にて「欠勤が○日続いたときは休職とする」のような定めがあるのに、即休職のカウントを始めてしまう(結果として本来まだ休職期間中なのに退職させてしまう)ケースです。

これはどちらかといえば休職に入る際の問題になりますが、充分注意が必要です(J学園事件でも、同様の点を指摘されています)。

また、休職期間満了が迫ったタイミングで社員から復職の申し出があるケースもあります。
この際に、休職期間満了までに復職の可否を判断する時間がないことを理由に復職を認めなければ、労務トラブルに発展する可能性があります。
この場合には、判断が可能な時期まで休職期間を延長する措置を検討すべきと思われます。

休職期間満了時の労務トラブル対策

まず、休職と復職について、就業規則にはっきりとした定めを設けておきましょう。
私の経験上、内容が乏しく解釈の幅が広い規定やあいまいな定義になっているもの、会社の裁量が大きい(ように見える)ものがよく見られますが、個人的な感触としてはお金に関わること(休職期間が満了すると退職となるため、お金に関わります)のルールがあいまいだと、労務トラブルの原因になりやすいです。

しばらくすれば復職が見込める場合には休職期間を延長することも、労務リスク対策には重要な点になります。

  • 就業規則の休職/復職の定めははっきり明確に。詳細に定義する
  • しばらくしたら回復が見込める場合は休職期間延長を検討する

就業規則の定めが労務トラブルを予防する

メンタルヘルス不調による休職/復職には、このように複数の労務リスクがあります。
判断を間違えば一気に労務トラブルに発展するので、労務相談のときも非常に気を遣います。

休職/復職を巡る労務トラブルを未然に防ぐには、しっかりとした就業規則の定めが欠かせません。
就業規則を今一度見返してみて、どうも定義があいまいだったりはっきりしないなと思われたら、社会保険労務士に相談することをオススメします。

また、労務トラブルになりそうな場合には、できる限り早めに社会保険労務士に相談すべきです。
私ども社会保険労務士事務所スリーエスプラスでは、就業規則の見直し労務相談対応を行っています。
お気軽にお問い合わせ下さい。

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